バイト アンケート集計

アンケート集計のバイト

昔からとにかく「初対面の人」と接するのが苦手なのだ。
そして、そういう人間にアルバイトは厳しい。定番の接客業が軒並みアウトになってしまう。バイト料の高い塾講師なんて論外。家庭教師さえ、知らない人の家へ伺って知らない人と面接して知らない子供に教える……と想像しただけで挫折してしまう。
結局、苦手克服はならず、楽しそうにバイトして稼ぐ友人たちを横目で見ながら大学生活を終えてしまった。
が、例外はある。大学で「アンケートの集計」というバイト募集を見つけたのだ。
勤務先は大学。アンケートの集計ならお客と接することもない。「2人組で申し込むように」とあったので、友人を誘って応募した。
仕事は、今では考えられないようなアナログ作業だった。ひとりがアンケートの原票を見ながら回答を読み上げ、もうひとりが手書きで記録していく。選択式の設問なんかは正の字を書いて票を数える。単調な仕事だったが、応募した友人と仲が良かったこと、そしてアンケートの自由記載欄でときどき笑わせてもらったのとで、それほど苦にはならなかった。
膨大な仕事が終わりに近づいた頃、バイトを管理している事務の方に呼ばれた。それまでは無表情というか無愛想というか、まさに事務的な方だったのだが、その時初めて笑顔を見た。
「お疲れさま。あなた達もこれ、どうぞ」
そう言って差し出されたのは温かい大判焼き。見れば事務所の人たちもみんな食べている。もちろんありがたくいただいた。寒い冬に、その差し入れはとても嬉しかった。アルバイトと冬の思い出である。